◎はじめに◎

グレーのところは変更され消去した部分です。

どこが違うかわかるように残してみました読み飛ばしてください

の所は変更したところです。

読みにくいかもしれませんが黒とのところを読んでくださいね。

           

             ショーショート①-2 猫のエヌリー 別バージョン

作:嵐山戌吉

 サトルが職場の事務所前で缶コーヒーを買っていると

後輩のヒロが妙な動きをしながらこちらに歩いてくるのが見える

ヒロ「わわわわわわ」となにやら足元を気にしながらフラフラしている

サトル「ヒロどうしたー?」と声をかけ、よく見ると猫が足に絡んできている

ヒロ「せんぱーい、なんとかしてくださいよー」

サトル「あー?何だその猫」

ヒロ「わわわわわわ」と踏まないように足を動かしている

  「わー」と猫を踏みそうなり とっさに足の向きを変えたので、その場で転んでしまった

サトル「ぶっ!」と噴出し

    「なにやってんだよ、バーカ」と笑い始めた

ヒロ「ひどいな、せんぱーい」と言うヒロの背中に猫がちょこんと座っている

サトル「ははははははは」と大笑い

ヒロ「何とかしてくださいよー、この猫ー」と言いながら起き上がろうとすると

猫は「ニャー」と鳴きながらヒロの背中からすばやく飛び降り

ヒロの前に回ってちょこんと座った

サトル「どこの猫だ?えらく なついてるなー」

ヒロ「なんだかわからないんですけど、ついてきちゃったんですよー」

サトル「んー?なんか餌やったんじゃねーの?おまえ」

ヒロ「朝っぱらから、そんなことしている暇ないですよー」

サトル「あー、お前ちょーせこいからなー、やるわけないか」と腕を組みながらいう

ヒロ「僕から集っといて・・・よくそんなことを・・・・」

サトル「はぁ?集る?」

    「あー、パンを一個食っただけだろ!しかもちっこいやつ」

ヒロ「あ」

  「それって良く考えたら犯罪ですよね?」

  「訴えないですから和解金を・・・・1万円で」

  「すげー格安」

サトル「おまえな・・・・」と目を瞑り怒りをこらえながら

    「おまえの尻拭いを何回やったと思ってんだ・・・」

ヒロ「あ、それは仕事ですね、犯罪とは無関係です」

サトル「なにー!泣かすー!」

    「おまえが泣くまで睨み続けてやる!」

ヒロ「・・・・・」とあきれながら

  「どんな攻撃ですか?」

  「しょぼさにも程があるでしょ・・・」と言いながらサトルの方に近づくと

サトル「ん?おまえ・・・イカくさいぞ」

   「朝っぱらからイカくさいとか、ちょーかっこわりー」とヒロを指差し笑う

ヒロ「あー、旅行のお土産で、するめを持ってきたんですよ」

サトル「お土産がするめとか、どんだけシケてんだよ!」

ヒロ「いらないならあげないですよ」と冷めた顔でいう

サトル「まぁー食うーけどよー」と、ほしそうに返事した

そんなことをいいながら事務所の中に入ろうとすると

事務所のドアを開け入り口付近を掃除している事務員のミサがこちらに気づき

ミサ「なにそれ?」とサトルたちに言ってきた

二人は事務所に入りながら

サトル・ヒロ「はぁ?」と疑問を抱きながら返事した

ミサ「ちょーかわいいんですけどー」と目をキラキラさせている

サトル・ヒロ「あ?」

猫「にゃー」

サトル「うおおおおおおおお」と驚きながら

    「ヒロ!事務所に猫をいれるなよー!」

ヒロ「えーーー!ぼくのせいになるんですかー?どういう理屈ですかー!」

サトル「おめーがイカくさいから、ついてきたんだろうがー、このタコ!」

ヒロ「はぅっ!」『そうだったのかー』と思いミサに

   「ミサさん、ちょーかわいい猫あげますよー」と言った

ミサは表情を一転させ「え?それだけは無理。かわいいけど触れなーい!」と早口で言う

ヒロ「はぅうう、死ぬとか・・・怖すぎますぅー」と瞳をうるうるさせている

猫はミサのデスクに飛び乗り書類を蹴散らしてしまう

ミサ「いやーん!と慌てて書類をかき集めている

   「猫はかわいいから死ななくてもいいけど!ヒロは死ね!」とまた早口でいい激怒している

ヒロ「せんぱーい、なんとかしてくださーい」

サトル「しゃーねーなー」と頭をかきながらいい

猫の目の高さまで屈み両手を優しくさしのべ

サトル「よしよし」

    「こっちこい」

    「エヌリー」

    「・・・・・」

そう言うと猫はサトルの手の中に飛び込んできた

サトルは慣れた手つきで猫を抱きかかえ耳の裏の付け根をなでてあげた

ヒロ「エヌリー・・・?」

サトルは懐かしそうな顔をしてその猫を優しく見つめていた

サトル「ミサ、猫出すからドア開けてくんない?」

ミサ「はぁ?ヒロがやれば?もしくは死ね!」とヒロに言った

ヒロ「なんで!」とその理不尽さに白目をむいて驚いている

   「死ねとか言っちゃいけないんだぞー」と目をうるうるさせながら言いドアを開けた

サトルは事務所の外に出て、優しく猫をおろし

サトルの手におとなしく抱かれている猫を見て

ヒロ「よくも僕を困らせてくれたなー」と悪い顔をしながら猫に顔を近づけた

すると猫は「フギャー!」と威嚇の声を上げながらヒロに猫パンチを食らわせ

サトルの手から飛び降り事務所から逃げていった

サトル「じゃあな、エヌリー・・・」と少し寂しそうに言いミサの方を見た

ミサはブツブツ言いながら散らかった書類を拾い上げている

ヒロ「なんだ、せんぱいの知ってる猫だったんですねー」

サトル「いいや・・・」

ヒロ「名前呼んでたじゃないですかー」

サトル「ああ・・・」

    「子供の頃飼っていた猫の名前だ・・・」と懐かしくそして寂しそうに笑う

子供の頃のサトル『こいつの名前はエヌリー』

           『僕が付けた』

           『なんでだったか覚えてない』

           『多分かわいいからだったと思う』

           『僕の両親は共働き』

           『だから、いっつもエヌリーと遊ぶんだ』

           『寂しいときはエヌリーを抱いて寝た』

           『とってもとっても、暖かいんだ』

   

   『俺が一番人肌恋しい時にいつも傍にいてくれた・・・・』

ミサ「ちょっと、拾うの手伝ってよー」と眉をハの字にしながら言う

サトル「まぁ、そうカリカリすんなー、

    ヒロと俺とで拾うからこれでも飲んどけ」と缶コーヒーをデスクに置いた

ミサ「ありがとー、サトルくん」「わー、あったかーい」と缶コーヒーを握り締め喜ぶ

ヒロ「ういしょっっと」と書類を拾いサトルに渡した

ミサ「触るんじゃねー、このくそ野郎が!」

  「テメーが、触ったらすべて捨てなくちゃならなくなるだろうが!」

  「つまり、拾っても意味がなくなる!」

  「そんなことも分からないなんて、お前の脳はポップコーンで出来ているのか!」

ヒロ「なんでそこまでー」と目をうるうるさせている

ミサ「冗談よ」と冷たく言う

  「今のは笑うところ」

  「笑いのツボが小3の貴方には無理な話しだけど」と冷たく笑う

サトルは集めた書類をデスクの上でトントンと揃え「ほいよ」と置き

サトル「うーん」と伸びをして「おっしゃー!ヒロ今日は三件まとめてくるかー!」と意気込みを語る

ヒロは「えー」とげっそりした顔をした

サトル「ミサは電話でサポートよろしくなー」

ミサ「はーい、了解デース」と元気よく返事をした

   「ヒロの電話は着信拒否ねー」と満面の笑みで言った

ヒロはとうとう頭にきて、すぐに事務所から出られるよう準備してから

ヒロ「どんな性格じゃ!ボケ!」といって「いってきまーす」と逃げた

ミサ「なんだと!この野郎!マウントポジションでタコ殴りにしてやろうか!」とヒロを追いかけていった

サトルは窓の方に行って空を見る

      『エヌリーか・・・・』

      『ごめんな・・・・忘れかけてたよ・・・』

      『あんなに俺を暖めてくれてたのにな・・・』

サトル「よっしゃ!そろそろ行くか!」と言って元気に事務所を出て行った

おわり

2012・02・08